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深田地質研究所年報

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財団法人深田地質研究所年報 第6号 2005


ニューファンドランド島セントジョンズ周辺の地質
Geology of St. John’s, Newfoundland
川村喜一郎・川村紀子
KAWAMURA Kiichiro and KAWAMURA Noriko
要旨:2004年9月24日~11月19日までの約2ヶ月間,ジョイデスレゾリューションによる掘削航海が北西大西洋で行われた.ジョイデスレゾリューションには,ニューファンドランド島セントジョンズで乗船し,ポルトガル領アゾレス諸島ポンタデルガーダで下船したセントジョンズでは,乗船待機のために,2日間滞在した.ここでは,その間に観察できるセントジョンズ周辺の地質の概要について紹介する.
キーワード: Expedition 303, ジョイデスレゾリューション,セントジョンズ,バッテリーホテル
p. 1-8
東京都東西方向地質断面図の作成 その5 -都営地下鉄大江戸線(12号線)斜交部の地下地質断面モデル-
The Geologic Profile in E-W direction of Musashino Plain, Tokyo City – No.5

– Modelling of Geologic Profile along The Toei Subway Ohe-do Line (No.12)
the Linear Part of Tokyo City –

藤江 力・深田淳夫・小林英一・堀口隆士・才口六男
FUJIE Tsutomu,FUKADA Atsuo,KOBAYASHI Eiichi, HORIGUCHI Takahito, SAIGUCHI Mutsuo
要旨:2003年度後半に続き,都内の地下鉄関連での地質断面図の収集を行い地下地質断面モデル作成を計画した.断面の資料は都の交通局のご好意により都営大江戸線(12号線)環状部および斜交部の地質概要図の原図を借用し,地下地質断面図のモデル作成を試みた.今回は交通局のご配慮による都営大江戸線(12号線)斜交部(図面7葉)についてのモデル作成を報告する.
キーワード:地下地質断面図モデル,都営大江戸線斜交部,東京,地質
p. 9-26
地形解析における三角斜面について その12 奥多摩町「本仁田山」斜面と「三ノ木戸山」斜面の三角斜面とその形成
On the Trigonal Shaped Slope in the Geomorophic Analysis – No.12
The Trigonal Shaped Slope in Honnida and Sannokido-yama districts, Okutama-mati, Tokyo, Japan
藤江 力
FUJIE Tsutomu
要旨:今回の三角斜面は,東京都奥多摩町の多摩川支流の日原川下流の左右岸に位置する「本仁田山」地区と「三ノ木戸山」地区の大集合三角斜面において,地形解析と共に三角斜面と逆三角斜面の抽出と拡張を行い,併せてこれらの資料に基づき両斜面の形成過程について検討を試みた.さらにこれらの結果から地形解析における一手法としての有効性ならびに今後の計画についてのまとめを報告する.
キーワード:三角斜面,本仁田山および三ノ木戸地区,東京奥多摩,地形解析
p. 27-80
内生型二枚貝類の殻体に見られる変形の類似性は何に起因するか
What was the similarity of transformation found among the shells of infaunal pelecypods caused by ?
柴田松太郎
SHIBATA Mastutaro
要旨:従来筆者が研究し,分類した軟質の堆積物に潜入する化石および現生の内生型二枚貝類の変形を整理・再分類すると次のようになる.すなわち,
A型:殻表に見られる陥没痕
A1型:外圧により殻体が陥没し,その後修復されたもの
A2型:貝に接触する障害物があって,貝の成長により殻体が変形したもの
B型:腹縁が 2 葉以上に多重殻体化しているもの
C型:堆積物微粒子が殻体の一部に取り込まれたもの
C1型:套線湾入部に堆積物微粒子が取り込まれ,時に袋状を示すもの
C2型:殻縁あるいは套線に沿って堆積物微粒子が取り込まれたもの
各型の特徴
A1型:深く潜る型の貝で,薄い殻体をもつものに生じる.したがって,重厚な殼体をもつミルクイガイにはこの型は生じないであろう.
A2型:深く潜る型の貝には認められる.
B型:大体深く潜る貝に生じやすい.まれにアサリやトリガイにも認められる.
C1型:サルボウガイやタマキガイのような非水管表層潜没型の貝に生じることはない.水管堆積物食型のゴイサギガイなどは左殻を下にしてほぼ水平に横たわっているので,この型は生じにくい.
C2型:水管の有無,潜没深度の深浅にかかわらず生じ得ると考えられるので,水管中潜没型,水管深潜没型および巣穴を作る埋没型の貝で現在発見されていなくても今後発見される可能性がある.
ここに挙げた型の変形は,いずれも病変や他の生物によるものではなく,潜入深度,生活姿勢などによるものである.
キーワード:A1型,A2型,B型,C1型,C2型,内生型二枚貝,変形
p. 81-91
西南日本外帯からこれまで報告されたジュラ紀アンモナイトの総括的目録
Synoptic List of the Jurassic Ammonites hitherto reported from the Outer Belt of Southwest Japan
佐藤 正
SATO Tadashi
要旨:西南日本外帯からこれまで報告されているジュラ紀アンモナイトのリストを編纂した.外帯のジュラ紀アンモナイトの多くは少数個体が散発的に発見され,内帯のそれのように一連の層序上に連続して分布することが少ない.しかし,アンモナイトは良い示準化石であるため.個体数は少なくても産出層準の年代決定に強い制約を与え,しばしば決定的な役割を果たすこともある.最近放散虫が広く発見されてそれによる層序が樹立されるようになるにつれ,アンモナイトによる詳細な年代の指定は前にもまして重要な意味をもつようになった.外帯から知られたジュラ紀アンモナイトは,九州西部からの1例を除きすベてジュラ紀中期以降のものである.
キーワード:西南日本,外帯,ジュラ紀,アンモナイト,目録
Résumé: A synoptic list of the Jurassic ammonites hitherto reported from the Outer Belt of Southwest Japan is compiled. Many of these ammonites were discovered sporadically from isolated localities, not distributed on continuous sections, unlike those in the Inner Belt. However, as ammonites are good index fossils, their occurrences give strong contstraints to the age of the beds and often play definitive role in dating, even though few in number. While radiolarians became useful for establishing stratigraphical classification, ammonites become more important for precise dating of the new stratigraphical units. All the Jurassic ammonites reported from the Outer Belt are of Middle Jurassic or later ages, except one from western Kyushu.
keywords: SW Japan, Outer Belt, Jurassic, Ammonites, List
p. 93-112
千葉県銚子地域の中新統より産出したジュラ紀アンモナイト
Some Jurassic Ammonites as derived fossils from the Miocene Naarai Formation, Japan
小畠郁生・松川正樹
OBATA Ikuwo and MATSUKAWA Masaki
要旨:千葉県銚子半島南部の長崎鼻と外川付近に分布する中新統名洗層から誘導化石として産出したと思われるジュラ紀アンモナイトにつき記述し,この発見に関連した地質学的意義を論述する.
キーワード:銚子半島,中新統名洗層,誘導化石,ジュラ紀アンモナイト
p. 113-124
イタリア・サルディニア島のラミネーションシーテイングを訪ねて
Visit of Lamination Sheeting in Sardinia, Italy
藤田勝代
FUJITA Masayo
要旨:イタリア・サルディニア島北部のテンピオ周辺に分布するモンゾニ花崗岩類と優白質花崗岩類において,日本国内の花崗岩類に形成されるラミネーションシーティングと酷似した水平クラック群の存在が明らかになった.また,カポテスタの海岸では,タフォニやノッチなど風化侵食によるさまざまな花崗岩地形が観察された.
キーワード:サルディニア,ラミネーションシーティング,花崗岩類,花崗岩地形,タフォニ
Keywords: Sardinia, Lamination Sheeting, Granitic Rocks, Granite Landforms, Tafoni
p. 125-144
三次元写真測量と地質学的観察を用いた那珂湊砂岩中の割れ目形成過程の解析
Stereo-photogrammetric and geological analysis of fractures in Nakaminato sandstone
藤井幸泰・堀 伸三郎
FUJII Yukiyasu and HORI Shinzaburo
要旨:那珂湊の白亜紀系の砂岩層中には,断層や節理の割れ目系が多数発達している.これら割れ目系の空間分布を三次元写真測量で図化して促えた.さらに断層と節理を破断面などから厳密に区分した.すると断層と層理面が囲う領域ごとに,節理の分布が異なり,節理は断層形成後に発達したことがうかがえる.
キーワード:節理,小断層,立体写真,解析図化
p. 137-144
岩盤の変形に関する係数の統一的評価に関する研究(1)
-序論および各種試験法による変形挙動の実際-
Study on Equivalent Evaluation for Rock Deformation Coefficient obtained by various Testing Methods (1)
-Preface and Actual Behavior of Each Testing Method-
武内俊昭
TAKEUCHI Toshiaki
要旨:同一岩盤に対して行われる変形試験の結果が,その試験方法の違いによって異なることがしばしばある.この研究ではその違いをとりあげ,それら相互の関係について考察する.本研究(1)では,従来筆者らが関係した実際の結果から,さまざまな試験法で得られた変形挙動や異なる試験法による差異などを示し,それらの特徴,差異を与える要因などについて考察する.ここで対象とした試験法は,等分布法による孔内載荷試験,円形剛体平板載荷試験,PS波速度から求められる変形係数,岩石供試体の変形試験,そして実際の構造物の荷重によって生じる変形から算出される変形係数などである.
キーワード:岩盤,変形試験法,変形係数
p. 145-152
北海道占冠(シムカップ)村双珠別川産のネリネア類Adiozoptyxis hidakaensis (Fukada)の産状についての研究
Study on the mode of occurrence of Nerinea, Adiozoptyxis hidakaensis (Fukada), from the Soshubetsu River in the Shimkappu Village, Hokkaido
深田淳夫
FUKADA Atsuo
要旨:筆者が,1953年(昭和28年)に記載した,北海道中央部占冠(シムカップ)村双珠別川「二番滝の沢」入り口附近の“オルビトリナ石灰岩”から採取した大型巻貝ネリネア類Adiozoptyxis hidakaensis (Fukada)の補足説明とあわせて,その産状を記述する.更に,下部エゾ層群に属する石灰岩の分布と賦存状態について,夕張山地の西側(神居古澤帯)のものと東側(日高帯)のものとを対比させながら若干の考察をこころみる.
キーワード:北海道,占冠村(シムカップムラ),輝緑凝灰岩,トマム衝上断層,オルビトリナ石灰岩,オリストストローム
p. 153-166
2004年新潟県中越地震により発生した地すべりのタイプと特徴
Types and characteristics of landslides caused by the 2004 Niigataken Chuetsu earthquake
大八木規夫
OYAGI Norio
要旨:2004年新潟県中越地震によって発生した広義の地すべりについて,縮尺1/6000カラー空中写真を用いて判読した.その結果は縮尺1/5000のオルソフォトマップを基図とする分布図として別途作成した.その際に,地すべり構造の観点から地すべりの発生域における深さ,運動様式,物質構成,および,移送堆積域における状態によって19のタイプに分類区分した.ここでは,その各タイプの特性を示し,それらの代表的事例を記載した.さらに,これらの作業を通して明らかになった中越地震による斜面災害の問題点,とくに今後の問題を提示した.
キーワード:新潟県中越地震地すべり,地すべり構造,分類,空中写真判読
Abstract: Landslides caused by the 2004 Niigataken-Chuetsu earthquake (MJMA=6.8) were mapped on orthophoto-maps 1/5000 in scale through air-photograph interpretation using colored air-photographs of 1/6000. For the mapping, those landslides were classified into nineteen types based on three categories, depth, type of movement, and materials, in landslide source areas, and also movement type in transport and accumulation areas in some of landslides. In this article, characteristics of each type of landslides were presented and examples for those landslides were shown. Further, important problems were discussed on those landslides and future landslide disasters in the Chuetsu region.
Keywards: Niigataken-Chuetsu earthquake, landslides, landslide structure, classification, air-photograph interpretation
p. 167-190