特別講演会
世界的な経済の停滞によって大規模開発の意欲は沈滞し、岩盤工学における技術開発の歩みは遅々として進まないように見える。そうした環境の中で発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所での重大事故を経験した岩盤工学研究者・技術者は、今、何を考えなければならないのだろうか? もう一度真摯に岩盤を見つめ直し、ジオフロント開発と地下空間利用の可能性を探ることではなかろうか。国際岩の力学会(ISRM)では、櫻井春輔神戸大学名誉教授とフランスの Dr. Pierre Duffaut 氏が中心となって地下空間利用の重要性に鑑み Commission on Underground Nuclear Power Plant を立ち上げ、実質的な検討が進められている。この Commission のこれまでの成果を交えながら地下空間開発・利用の可能性について大いに語っていただく。
・日 時:2014年10月17日(金) 講演会:14:00 ~ 17:30
・会 場:(公財)深田地質研究所 研修ホール
・定 員:70名(申込み順)
・参加費: 講演(無料)
座長 櫻井春輔氏(神戸大学名誉教授、元 ISRM President)
◆講演1 14:00~15:00
講師:櫻井春輔氏
岩盤工学から見た地下空間利用の現状・展望と ISRM Commission on Underground NPP の活動の意義
大都市における土地の有効利用のために各種インフラの地下化が活発化している。また、地下空間を有害物の封じ込めを可能にする空間として利用することも種々検討されている。その一つである放射性廃棄物の地層処理などは社会的に大きな関心事である。また、福島における原発事故の後、原発の地下立地の研究が加速化している。昨年、ISRM Commission on Underground NPP が設立され国際的な場で地下原発に関する調査・研究が開始された。本講演会ではその背景並びに目的等について報告する。
◆講演2 15:15~17:00
講師:Pierre Duffaut氏(Coordinator Manuel de Mecanique des Roches)
The underground option is the unique hope for safe nuclear power
(地下空間の選択は安全な原子力利用に対する唯一の希望である:英語講演)
初期の原発のいくつかは、ロシアのシベリアやフランスにおいて地下に建設され成功裏に運転された。そして、日本を含む多くの国では地下原発に対する研究が数多く実施された。チェルノブイル、及びスリーマイル島の原発事故の後、原発の地下立地の選択を要求する声は大きくなった。しかし、それは長続きしなかった。本講演会では、原発が従わなければならない主要な要求について述べると共に、フランスや世界各国の例をもとに最も重要な地形的及び地質的な規準についてコメントする。
17:00~17:30 総括ならびに質疑応答(講演者)
深田地質研究所では、2009年に岩盤応力に関する研究委員会を設け、専門家による岩盤応力測定の意義と興味深い測定事例について検討を行ってきた。また、ベルナール・アマディとオーブ・ステファンソンによる名著「Rock Stress and its Measurement」の全訳を進め、この3月に「岩盤応力とその測定」として公刊するに至った。本講演会は、本研究委員会の総括報告と位置づけ、これまでに検討してきた岩盤応力の測定技術やその利用に関する最新の動向等について報告を行う。
・日 時:2012年6月11日(月) 講演会:14:30-17:50,交流会:18:00-20:00
・会 場:公益財団法人深田地質研究所 研修ホール
・参加者定員:80名(先着順)
・参加費:無料(ただし、交流会参加費は2000円)
・プログラム
「委員会活動報告と岩盤応力の重要性について」14:30-15:00
石田毅 (京都大学大学院)(深田地質研究所岩盤応力に関する研究委員会委員長)
「水圧破砕による地殻応力計測法の進化」15:00-15:40
伊藤高敏 (東北大学流体科学研究所)
「最近の応力解放法と国内外での測定事例」15:40-16:20
横山幸也 (応用地質株式会社)
「メタンハイドレート開発における未固結堆積物での応力評価」16:30-17:10
山本晃司 (独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)
「シェールガス・オイル開発におけるジオメカニクス」17:10-17:50
手塚和彦 (石油資源開発株式会社)
・講 師: Prof. C. Fairhurst
・日 時: 2011年2月10日(木)講演会:14:00~17:30,懇親会:17:30~19:00
・会 場: 財団法人深田地質研究所 研修ホール(通訳はありません)
・定 員:50名(申込み順)
・参加費:講演会(無料)、懇親会(2000円)
・プログラム:
1.”Stress measurements by borehole pressurization and BEM those were done after Minnesota” (14:00~15:00)
by Yoshiaki MIZUTA Professor Emeritus, Yamaguchi University
2.”Grand Challenges in Earth Resource Engineering, and Implications for Rock Mechanics and Rock Engineering” (15:00~16:00)
by Charles Fairhurst Professor Emeritus, University of Minnesota
BACKGROUND:The Earth Resources Engineering Section of the US National Academy of Engineering (NAE) recently concluded a study of Challenges in Earth Resources Engineering. The speaker was Chairman for the Earth Resources Engineering study. The lecture will briefly describe the results of the study, and will discuss the important issues in rock mechanics and geological engineering involved in meeting these challenges. One Grand Challenge and four Specific Challenges were identified.
== Coffee Break 16:00~16:20 ==
3.FREE DISCUSSION
1)“Rock Physics Digital Library” and its use for rock physical interpretation of geophysical data (16:20~16:50)
by Toru Takahashi Director, Fukada Geological Institute
2)Q&A with Prof. C. Fairhurst(16:50~17:30)
・講 師: 吉中龍之進 氏 (埼玉大学名誉教授)
・日 時: 2009年12月22日(火) 14:00~17:00
・会 場: 財団法人深田地質研究所 研修ホール
・参加費: 2,000円(資料代)
・講演概要:
我が国は代表的な地震国である。従って殆んどの構造物支持地盤の安定性評価は地震時設計条件で決まる。岩盤はそれが形成される時点で節理や様々な割れ目を含み本質的に不連続体であり、連続体の概念は適用できない。周知の通り,常時・地震時に生じた岩盤の崩壊面の殆んどの部分は既存の不連続面である。従って岩盤の実態に即した岩盤動力学の発展が望まれる。ここでは必要性、代表的な海外の研究施設例、解析手法や研究動向を紹介する。
「深田研談話会」は技術士CPD(継続教育)履修実績として申請することができます。
・その他: 講演終了後に交流会を開催します(無料)
・講 師: ロエル シュニーダー (Roel Snieder) 氏 (コロラド鉱山大学:Colorado School of Mines,教授)
・日 時: 2009年6月18日(木) 10:00~12:00
・会 場: 財団法人深田地質研究所 研修ホール
・参加費: 無 料
・講演概要:
Seismic interferometry is a technique for imaging without coherent sources. The idea is to combine waveforms, generated by ambient noise, that are recorded at different receivers in a way to provide the waves that would propagate between these receivers as if there was a source at one of these receivers. This obviates the need to have a soure located at one of the receivers. In the tutorial I cover different formulations of the theory that explain seismic interferometry, and present examples with field data that show the possibilities that are opened up with this new technique. With the advent of permanent networks of seismometers in exploration seismology and global seismology, seismic interferometry opens up new methods for imaging and monitoring.
・共催:地球科学総合研究所(JGI Inc.)
大規模プロジェクトの激減によって地盤や岩盤に関する研究及び技術開発の停滞が憂慮されるようになって久しくなりますが、最近、他分野で用いられている技術を取り込んで地盤・岩盤工学の諸問題に適用しようという斬新な試みが種々なされています。今回の講演では、最前線でご活躍中の研究者をお招きして新しい技術開発成果をご報告いただくことにいたしました。
・日 時: 2008年12月12日(金) 講演会:14:00~17:00,懇親会:17:10~18:30
・会 場: 財団法人 深田地質研究所 研修ホール
・参加費:無 料(懇親会参加費2000円)
・プログラム:
「応力を計る」技術と「変位を可視化する」技術の開発(14:10~15:30)
・講 師: 神戸大学工学研究科 准教授 芥川真一
・講演概要:
話題1 磁歪法による鋼構造物の非破壊応力測定例
磁歪法によって鋼構造物の表面に存在する応力を非破壊で測定することができる。測定誤差は10から20MPa程度であることが知られている。様々な場面でこの装置を用いた計測が可能であるが、意外にも実際に使用されている例は少ない。ここでは、構造物の現状を確認すると共に、維持管理目的においても貴重なデータが計測できる例を紹介する。
話題2 データを光の色で現場に表示する新しい考え方について
計測装置の高度化、データ管理の進化・IT化が進む一方で、自然災害などによる人的被害は少ないながらも存在し続けている。地すべりなどのような自然災害はどこで生じるかを予め予測することが極めて難しい。高価な計測システムを広範囲に設置することは不可能であり、新しい方法論が必要とされている。ここでは、簡易な装置で変状を把握し、それを原位置で分かりやすく表示し、危険を可視化するための新しい考え方を紹介する。
「微生物の代謝活動により固化する新しいグラウト(バイオグラウト)の開発とその適用例」(15:40~17:00)
・講 師: 北海道大学工学研究科 准教授 川崎 了
・講演概要:
バイオグラウトとは、微生物の代謝活動により固化する新しいグラウトのことである。微生物に必要な栄養源などを適量加えて調製したグラウトを地盤や岩盤に注入すると、現地に生息する微生物の代謝活動によりグラウトが固化し、地盤の間隙や岩盤の亀裂を埋めることで止水性や強度が増加する。最終的に固化したグラウトは中性から弱アルカリ性の炭酸カルシウムまたはシリカとなり、これらは自然の堆積岩の主なセメント物質であることから環境に優しい。本講演では、バイオグラウトの固化原理と研究開発の現状についてわかりやすく説明すると同時に、その適用例について紹介する。