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深田研談話会

過去の談話会

2016年度

第171回  「関東平野と長周期地震動リスク」
講師: 古村 孝志 氏(東京大学 地震研究所 教授)
日時: 2016年4月15日(金) 15:00~17:00
大地震が発生すると、小刻みに揺れる短周期の地震動に加え、周期が数秒を超える長周期の地震動が生まれる。長周期地震動は、関東のような深い堆積平野で強く増幅されるとともに、堆積層に閉じ込められるように長く続き残るため、超高層ビルや大型石油タンクが共振を起こして大きく長く揺すられ、被害の原因となる。近年の大地震そして将来の南海トラフ地震で想定される長周期地震動とその対応について、地震観測データ解析とコンピュータシミュレーションから考える。

第172回(現地) 「地質技術者のための露頭写真の撮り方-箱根火山岩類を対象に-」
講師: 白尾 元理 氏(地質写真家), 山下 浩之 氏(神奈川県立生命の星・地球博物館)
日時: 2016年5月14日(土) 10:00~17:00
地質踏査を行う際、露頭の写真撮影が必要になります。地質技術者の中には、撮影機材にこだわる方も多いようです。一口に写真といっても、切り口一つでその印象が劇的に変わります。箱根ジオパークの一角を担う真鶴半島にて、プロ写真家の講師と一緒に撮影をしてみませんか。火山岩石学の専門家による、中~上級者向けの地質解説も実施します。
見学場所:1. ケープ真鶴(講演&真鶴町立遠藤貝類博物館の見学) 2. 三ツ石海岸(昼食含む) 3. 番場浦(ドローンによる撮影デモ) 4. 大ヶ窪海岸 5. 岩海岸

第173回  「西南日本沿岸湖沼に残された巨大地震津波痕跡」
講師: 岡村 眞 氏(高知大学防災推進センター 特任教授)
日時: 2016年7月1日(金) 15:00~17:00
巨大地震の「証拠」が西南日本沿岸域の小さな池に眠る。7,000年間の池の記録は、三連動型の巨大地震が300年周期で発生してきたことを示す。次がこの連動型の巨大地震津波になる確率は70%。災害に備えるには、地盤のよい標高30m以上の高台に住むこと。百年に一度、宿命的に流されない「街造り」がいま、求められている。

第174回  「半世紀を迎えた我が国の地熱発電」
講師: 當舎 利行 氏(熊本大学 国際先端科学技術研究機構 特任教授)
日時: 2016年11月11日(金) 15:00~17:00
今、地熱に注がれる視線が熱い。CO2排出量が多い石炭火力発電や、廃棄物処理への目処が立たない原子力発電に代わる“再生可能エネルギー”として、その価値が見直されている。我が国の地熱発電所は、50年前の岩手県松尾村(現八幡平市)で産声を上げ、その後も各地で建設されてきた。しかし1997年の法改正により、新エネルギーの範疇から外れたことが影響し、地熱発電への風が止んだ。東日本大震災に前後して再び開発の機運が高まり、新たな発電所の建設が行われているが、開発された発電量は推定資源量の2.2%に過ぎず、地熱資源の性質に適合した将来の開発が望まれている。50年の歴史を振り返ると共に,次の50年にすべきことについて考える。
ご講演資料はこちらからダウンロードして下さい

第175回  「日本の大陸棚の拡大の取り組み~科学の力で海の領土を拡げる~」
講師: 森下 泰成 氏(海上保安庁 海洋情報部授)
日時: 2016年12月16日(金) 15:00~17:00
国連海洋法条約は、沿岸国が排他的に天然資源を探査・開発する権利を有する海底を「大陸棚」と呼び、海底地形・地質が一定の条件を満たせば、海岸から原則200海里までの大陸棚をさらに拡大できるとしている。我が国は国を挙げて海洋調査を行い、国連における審査を経て、2014年に大陸棚を拡大させた。これまでの日本の取り組みについて世界の動きも交えて紹介する。

第176回  「地質汚染科学の意味するところ~綺麗な水循環の復元と子孫の命を守るために~」
講師: 楡井 久 氏 (内閣府認証NPO法人日本地質汚染審査機構理事長・茨城大学名誉教授)
日時: 2017年2月10日(金) 15:00~17:00
地質汚染現象【Geopollution】は、地層汚染【Strata Pollution; 土壌層汚染も含む】、地下水汚染【Groundwater Pollution】、地下空気汚染【Ground air Pollution】からなる大地の総体的汚染である(Medical Geology;国際惑星地球年(IYPE)記念行事刊行物による)。また正しい地質汚染の調査や浄化は単元調査法で行われる。国土の汚染は近年さらなる複雑さを増し、住宅地での地質汚染は人の健康にも影響している可能性が否定できない。健全で綺麗な水循環を構築し、将来への環境維持のためにも、ますます単元調査・浄化による地質汚染問題の解決が重要になってきている。

第177回  「地形・地質の保全とジオパーク」
講師: 目代 邦康 氏(日本ジオサービス株式会社 代表取締役,日本ジオパークネットワーク主任研究員)
日時: 2017年3月10日(金) 15:00~17:00
ジオパーク活動の目的の一つは地質遺産の保全である。生物の保護・保全については、保全生物学、保全生態学という分野によって、科学的な視点から検討が進められている。地質や地形の保全に関しての議論はまだ十分でなく、保全地形学、保全地質学は日本では成立していない。地形・地質の保全の歴史と今後の展望について考える。