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黒部峡谷鉄道ジオ鉄の旅(講演会報告)

黒部峡谷鉄道でジオ鉄の活動に取組んでいる柏木健司先生(富山大准教授)から
2月6日(月)に行われた講演(卓話)の報告がありましたのでお知らせします。

  • テーマ:黒部峡谷鉄道ジオ鉄の旅
  • 講師:柏木健司氏(富山大学大学院理工学研究部 准教授)
  • 日時:2月6日(月)18:30~19:30
  • 場所:ANAクラウンプラザホテル富山3階「飛鳥の間」
  • 主催:富山大手町ロータリークラブ

「黒部峡谷鉄道ジオ鉄の旅」      
富山大学大学院理工学研究部 准教授 柏木健司

ジオ鉄は「鉄道を利用しながら沿線に広がる自然を楽しむ旅を通して,地球の成り立ちと大地の変化に想いを馳せること」です。鉄道を愛する地質技術者たちが集まって企画されたジオ鉄は,深田地質研究所を中心に普及活動が継続されています。地球や大地を表す言葉に用いられる geo(ジオ)と,鉄道ファンの愛称「鉄(テツ)」にちなみ,鉄道に対する親しみと敬意を込めて命名された新語「ジオ鉄」は商標登録され,ジオ鉄の旅を楽しむ雰囲気はロゴマークにも表現されています(公式website「ジオ鉄®web」http://fgi.or.jp/geo-tetsu/)。

黒部峡谷鉄道のトロッコ列車は,宇奈月を起点として終点の欅平までの約20.1 km 間を,急崖を縫うように走っています。その車窓からは,急崖とそれを分かつ急な支流渓谷や滝,そして時には急崖とは対照的な穏やかに傾斜する平(だいら)地形など,千差万別な地形が目に入ってきます。また,明治に入ってから一般に開放された黒部峡谷には,峡谷の各所に湧く温泉を目的とする湯治や,現在の関西電力に引き継がれている電源開発を通じて,様々な“路”が黒部川沿いに整備されてきました。黒部峡谷鉄道は,現在,我々が秘境黒部峡谷に入山する唯一の“路”であり,トロッコ列車で旅するジオ鉄の舞台でもあります。

黒部峡谷鉄道ジオ鉄の旅は,「ジオ」を柏木と日野(環境総合テクノス)が,「鉄」を加藤(深田研ジオ鉄普及委員会)が担当して進めています。一般観光客は下車できない工事専用駅を含め,沿線には計10 の駅があり,我々はそれぞれの駅周辺を中心に,また乗車中の車窓から眺める風景も含めて,ジオと鉄が楽しめる地点をジオポイントと呼称し,地質学と地形学を身近に感じていただくガイドマップを作成すべく,現在,調査活動を地道に進めています。今回の講演では,何気なく眺めている風景の中にひそむ,ジオと鉄の歴史(地史)やキトキトな姿を,かいつまんで紹介していきます。(原文)

参考:日野康久・柏木健司・加藤弘徳(2016)黒部峡谷鉄道で愉しむジオの旅,日本応用地質学会平成28年度研究発表会講演論文集,pp.211-214.